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ダイアリーを継ぐもの

ジョーカーとハンニバル・レクター博士とカタルシス

今まで気にはなっていたけれど、観ていなかった映画「ジョーカー」。
ここの所、ジョーカーを模範した犯罪者が出て来ているので、気になって観た。

バットマンに登場する如何にも分かりやすい悪者「ジョーカー」が誕生するまでの前日譚を含めた話だが、それは実に地味な作品だった。しかし、危うさを孕んだ作品にも感じた。

何が危ういかというと、負の共感だ。貧困・劣等感・絶望感などといったトラウマやら負の感情を持った人はこの世の中で一定数いるだろうし、いわゆる負け組と呼ばれる人も一定数いるだろう。人は失敗する生き物でもある。1度の失敗でもその会社ではやっていけなくなるとかざらである。共感しやすい。共感は負の感情を増長させ、更にはジョーカーがしたような犯罪へ発展しかねない危うさを孕んでいる。

悪のカリスマというべきか、負のカリスマというべきか。
作品の開始から8割程度はジョーカーになる前の話で、地味で自分とは違うタイプの人間だが不幸な事にさらされ続け憎めるタイプでは無かった。むしろ、おかしな事だがまるで主人公に共感をしたかのようにストレスが溜まる。

人は負の感情が膨らんでも自我といった制御システムにより押さえ込んでいるのだが、ジョーカーの場合はピストルというトリガーを手に入れ、変えようのない絶望が続き、更にはそれを高見の見物で笑う人たち。負の感情を持ちながらハッピーに生きるすべに目覚めていくジョーカーの心理。
作品の8割くらいでジョーカーになり、そこで今までの悲劇が一転して喜劇になりカタルシスを感じてしまうかもしれない危うさ。この作品を最後まで観てカタルシスを感じたり、更にはジョーカーという負の感情の塊がダム崩壊する事により快感を覚えてしまう危うさ。

羊たちの沈黙」「ハンニバル」も合わせて久々に観た。
ハンニバル・レクター博士は、凶悪犯罪者ではあるが、知的で自分がどういう人間であるかを対外的にも分かっているように思える。その上で、人を喰うという根源を持ち合わせている危うい人だ。共感はしにくいものの自分は好きなタイプだし、レクター博士には誠意を持って話したいタイプ。ただ、クラリスのように勇敢かは別だけど。

羊たちの沈黙」のテーマは心の闇やトラウマを抱えた者がどう変身するかというリハビリ作品なのではないかと思います。観る度に新たな発見があります。細かな仕草は各々の心理を暗喩していて実に面白い。クラリス視点で観ると今まで感じなかったカタルシスを感じるかもしれません。

 

 

 同じサイコな作品ならば、「ジョーカー」ではなく、「羊たちの沈黙」~「ハンニバル」を観る事をオススメします。